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ニューズレター 第103号(2018.8.13発行)

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 日本キャリア教育学会ニューズレター 第103号(2018.8.13発行)

                   発行:日本キャリア教育学会 情報委員会
                    http://jssce.wdc-jp.com/
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■ 【開催報告】日本キャリア教育学会第36回研究セミナー
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 2018年6月24日(日)に、第36回研究セミナーが関西大学千里山キャンパ
スで開催されました。当日は、全国から会員・非会員あわせて126名の方々に
参加頂きました。
 基調講演では、大杉住子様(大学入試センター審議役)と藤田晃之様(筑
波大学教授)をお招きし、大杉様には「共通テストとキャリア教育」、藤田
様には「新・学習指導要領とキャリア教育」をテーマにご講演を頂きました。
続くシンポジウムでは、お二人に加え、三村隆男様(早稲田大学教授)にも
ご登壇頂き「共通テスト時代のキャリア教育」と題して議論が交わされまし
た。
 大杉様からは、共通テストの全体像について、最新情報だけでなくキャリ
ア教育を絡めた貴重なお話を頂きました。特に、共通テストの作問にあたり
「社会生活や日常生活の中から課題を発見し解決方法を構想する場面」「資
料やデータをもとに考察する場面」など、問いの場面設定に工夫を施した点
が印象に残りました。
 藤田様からは、現行の学習指導要領におけるキャリア教育の位置付けを振
り返り、今日本の教育が直面する危機について国際比較データを基に示した
うえで、新学習指導要領の骨子及びキャリア教育の位置付けや要点を丁寧に
お話し頂きました。その中で、(1)新学習指導要領においてもキャリア教育の
基本的理念は変わらないこと、(2)キャリア教育実践のあり方が総則事項の中
で明文化されたことなどが確認されました。
 シンポジウムでは、三村様から海外のキャリア教育との比較の視点も交え
た興味深い話題提供があった後、近畿研究地区部会幹事の家島様の司会のも
と、全体討論が展開されました。新学習指導要領で活用が求められているキ
ャリア・パスポート(仮称)と、産業界で導入が推進されているセルフ・キ
ャリアドック制度との連携の可能性など、多様な視点から意見が交わされま
した。キャリア教育の重要性を再認識できる、充実した研究セミナーでした。

                 (文責:関西外国語大学 古田克利)
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■ 【コラム】海外経験とキャリア観
              静岡大学 国際連携推進機構 ライアン優子
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 「留学を通して得る様々な経験で価値観が広がりますよ。」大学のガイダ
ンスで新入生にこう言って留学の奨励をしている。では私自身は海外での経
験からどんな影響を受けただろうか。留学時代のアルバイト体験とキャリア
観について考えてみた。
 私はイギリスに留学をしていた時、ロンドン・ビクトリア駅の国際バス便
発着業務のアルバイトをしていた。チェックインカウンターで、ヨーロッパ
の主要都市に向かうバス便に客を乗せる業務だった。働き始めてまず驚いた
のは、同僚の多国籍・多様さである。国際バス便の乗客はもちろん世界中か
ら来るが、スタッフもスペイン、イタリア、フランス、ドイツ、ポーランド、
シンガポール、ハンガリー、チェコとほぼ全員が他の国から来ていて、ロン
ドンらしくLGBTのスタッフも多かった。異なるバックグラウンドを持つ彼ら
と仕事の合間に話をするのは、とても面白かった。
 スペイン人の同僚からは、条件が整えば彼らはイギリスでも失業手当がも
らえることを知った。EUの国籍であれば、圏内どこでも働き、住むことがで
き、社会保障までついてくるということは、日本から来た私にとってはカル
チャーショックだった。
 インターバル規制というものがあることを初めて知ったのは、夜シフトに
入っていたフランス人の同僚からだった。「夜の10時半に仕事を終えて、明
日の朝7時過ぎに出勤するなんて、フランスではありえないわ。」と彼女は
言っていた。
 勤勉さと国籍に関係がないことも実感した。ヨーロッパの中で、イギリス
人はビジネスマンと呼ばれていて、欧州大陸の人たちのほうがゆったりと働
くイメージがある。しかしキャリアチャンスを求めて、物価の高いロンドン
に出てきた同僚達は、各々スタイルは異なれど、よく働いた。そして国籍に
関係なく昇進ができる職場であったため、面倒見が良くて、チーム全体のた
めになることをできる人が出世をした。こうした職場で頼られる人のタイプ
はどの国に行っても変わらないのかもしれない。
 キャリアパスに関しても大いに考えさせられた。同僚達の多くは、旅行業
関係の仕事をかけもっていて、より良い仕事を見つけては応募し、転職を通
してキャリアアップした。キャリアは自分で切り開き、自分で築くという生
き方を実感する場所だった。イギリスは雇用主の采配で解雇が容易にできる
国だ。働きが認められなければ居場所はない。それは厳しさでもあるが、そ
れだけチャンスが多い場所でもある。そんな環境で、様々な国籍の人が、プ
ライドを持ち、自分の生き方、働き方を選んでいた。
 かくいう私も、帰国後にいくつかの仕事を経て今の職場にいる。自分の将
来を模索していた留学時代に、多様な働き方にふれたことは、私のキャリア
観を自由にしてくれたなと今になっては思う。
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